危険"油"物取扱注意 ■ たとえばリノール酸。必須脂肪酸であり、不足すると成長・生殖・皮膚の恒常性などに異常をきたすと言われる。 が、実際にはその欠乏症が報告されたことは無い。 リノール酸は、日本人の食生活に欠かせない、味噌、醤油、豆腐、揚げ、納豆、高野豆腐、湯葉、きなこ、豆類などに含まれており、あえてリノール酸系植物油紅花油・ひまわり油・大豆油・米ぬか油・コーン油・なたね油などなどから「過剰に」摂取する必要は全く無い、どころか過剰摂取は過酸化脂質を作り、炎症や動脈硬化など現代病の原因となりえる。 さらに言えば、一般的な植物油は、脱臭・漂白・高熱処理・アルカリ精製などの複雑な工程を経て製造されており、本来の抗酸化ビタミン、酵素などのほとんどは取り除かれてしまい、必須脂肪酸の多くも破壊されたあげく、有害な活性酸素やトランス酸を発生させる。 さらに、腐敗を防ぎ日持ちするよう酸化防止剤などを添加……。 自然食愛好家たちは、こういった一般的な精製油を使わず、上質な、低温圧搾された植物油を摂ることが多いが、しかし、いくら上質な低温圧搾の植物油であっても、あえてリノール酸を選択する意義はすでに無い。 |
マーガリンは実はヘルシー? とんでもない! マーガリンやショートニングは植物油の不飽和部分に、120℃から210℃という高温、高圧下で水素ガスを発生させ、ニッケルや銅を触媒として飽和化させたものだ。 製造の過程で発生する不自然なトランス酸は、ホルモン系、自律神経系、免疫系、生命維持の中枢部分を撹乱させてしまう。 トランス酸の詳しい作用機序はまだ充分に明らかにされていないが、動脈硬化や心臓病の最大誘因とされ、先進国ではトランス酸を含むマーガリンやショートニング、植物油などが禁止されたり、発売禁止規準が設けられたりしている。 オランダは他国に先がけトランス酸を含む油脂製品を販売禁止。アメリカの心臓病学会はトランス酸の多いマーガリンや植物油は使わないようにとガイドラインを発表(1997年)。一年遅れてFDA(連邦政府食品医薬品局)が油脂製品の全てにトランス酸の含有量の表示を義務付ける方針を発表。 日本では、政府も学者もトランス酸よりもバターの飽和脂肪酸を心配している人の方が多いようである…。 紙幅がないので要点をまとめる。 避けるべき油。 ×揚げたてでないもの(過酸化脂質となる)。 ×元々悪い・古い油を使っているもの。 ×市販の化学合成されたすべての油(製造法が重要)。 摂るべき油。 ○上質なバター(発酵バターなど)を1日2〜3片。 ○オリーブ油。オレイン酸を主成分とし、ポリフェノールを多く含むうえ酸化しにくい。生でも加熱しても。 |
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○オメガ3系の油(n−3系多価不飽和脂肪酸‥EPA・DHA・αリノレン酸等)。ガンを始めとする生活習慣病の予防効果等により注目されている。 ○ 亜麻仁油(しそ油・えごま油でも)を、毎日少量(小さじ1〜2杯程度)ずつ「必ず生で」摂る。絶対に加熱はしないように。この油は、リノール酸系油の正反対の性質を持つと考えられており、現代人の偏ったオイルバランスを矯正する強力な装備となりうる。 ■参考:まほろば誌掲載「油とは」宮下洋子氏著。 |