…………………………… eat-to-win──実戦的食事「学」 ………………………………

糖、は甘い毒なのか?

飽食の現代、糖はその害ばかりが喧伝されるが、それはカラダにとって、文字通りの甘露でもあり、細胞内に不足するとわれわれは壊れてしまう。糖の真実、ヘルシーなそれとは何なのか?

■ 糖分は昔から健康の敵と言われ、あるいは多大な恩恵をもたらすと言われてきた。糖分は諸刃の刃、飢餓線上すれすれの時代であれば、恩恵が強調されようが、この飽食の時代、たとえば砂糖を摂り過ぎると、体がだるくなり、眠気やしびれ、はては糖尿病、低血糖症、胃腸機能障害、神経症、ガン、アトピー、ぜんそく、リウマチ等の引き金になるともいわれている。
糖質(デンプン・砂糖・ハチミツなど)は、細胞に取り込まれる際、すい臓から分泌されるインシュリンの助けを必要とするが、糖質の種類によって、すい臓の負担に軽重がある。
何千という糖の分子がつながった多糖類(ごはんやパン、麺類など)は、ゆっくり分解され、麦芽糖(ブドウ糖+ブドウ糖)になり、最終的にブドウ糖になり吸収されるため、すい臓の負担は軽い。
ところが、ブドウ糖と果糖が2個くっついただけの単純な砂糖(蔗糖)は、あっという間に分解されてブドウ糖と果糖になる。清涼飲料水や缶コーヒー等の液状糖分は、すでにブドウ糖と果糖が分離しているので、砂糖よりもさらに吸収が早い。これらを過剰摂取すると、すい臓はパニック状態に陥り、過剰なインシュリン分泌を強いられ、
その反動で必要なときにインシュリンを供給できず、枯渇、つまり低血糖へと陥る。
コーラをがぶ飲みする子供たち、体力がない、根気が続かない、イライラ、切れやすい。それらも低血糖症の代表的な症状の一部だ。そのままにしておくと、血糖値の上下を繰り返したあげく、脳にも体にも糖分が充分供給されない事態に。こうなると安全なごはんなどのデンブン(多糖類)も、果てはタンパク質や脂肪さえも上手く消化できず、栄養不良に陥る。
とはいえ、多糖類なら安心、とも言えない。砂糖のように極端に血糖値を上下させはしないが(砂糖の)2倍のインシュリンを要求するからだ。ゆえに、すい臓の負担を減らすには、一度の食事の絶対量を減らし、回数を増やすことである。玄米菜食者の多くがこの陥穽に落ちる。肉や卵、魚を食べないので必然的に米に比重が傾き、すい臓の酷使へとつながるのだ。糖を代謝するには、インシュリンのみならず、莫大なビタミンミネラル、さらに酵素を必要とする。米や麺類などの炭水化物は程ほどに、生野菜・加熱野菜・果物・植物性タンパク・上質な動物性タンパク・海草・豆・発酵商品(味噌・醤油・ぬか漬け)など、幅広い栄養素の摂取が肝要である。
──そう、糖である。どのような糖がカラダに優しいのか。
果糖である。果糖は疲れ果てたすい臓に休息を与える。それは実に、インシュリンの助けを借りずに(!)細胞に吸収されエネルギーに換わる。
果糖は、低GI値(グリセミック指数)ゆえに注目されている。「低インシュリンダイエット」で有名になったGI値とは、ある食べ物を摂ってから2~3時間後に、どれくらい血糖値が上昇するかを表した指数で、果糖は23(資料により異なる)、ちなみにブドウ糖が100である。
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さらに果糖は、砂糖比1.2~1.5倍(精糖工業会「甘味料の総覧」)の甘味度を有し、使用料を抑えることができるため、摂取カロリーも低くなり、栄養や医療、スポーツ界でも推奨されている。実際の商品としては、テキーラの原料植物から搾った〈アガベシロップ〉や、自然の植物の甘みを再現した〈ひふみ糖〉を推奨したい。
■参考:まほろば誌掲載「糖について」宮下洋子氏著。