foto by Erik Aeder + Rick Leeks |
マウイ・ノースショアの、
"POWER SURFER" たち
■"POWER SURFER"とは、自分の力、つまりパドリングだけでは
テイクオフできない、human-scale をはるかに越えたサイズの波に
──ウインドサーフィンにおけるセイル(=風のパワー)や、トゥイン
サーフィンにおけるマリンジェット(フットストラップのついたサーフ
ボードを履き、牽引してもらう(=エンジンパワー)を利用して──
強引に乗ってしまう男たちをさす。
マウイ島北岸のJAWSは、現在、世界で最大の"SURFABLE"な波が
割れるポイントであり、パワーサーフィングもここでうまれた。とは
いえ、海抜20メートルクラスの波に、まともに乗れるパワーサーファーは
世界に20人ほどしかいない。
かれらはすこし変わっている。
少なくとも表面上はエキセントリックではないのだが、いつもどこか焦って
いるようなかんじがする。いつもらんらんとしているというか、ばくばくして
いるというか、ある種狭量だというか、ニンゲンの種類がちがうというか……。
かれらは、ノースショアを望むハイクの森に、スローでネイチャーな家くらいは
持っているが、サッカーやゴルフのトッププロのように大金持ちではない。
けれど、おおむね、美しいカラダと、時間に拘束されない生活を有している。
レアード・ハミルトンは、PEOPLE誌(だったっけ?)の抱かれたい男ナンバー
ワンに選ばれ、ラッシュ・ランドルやピーター・カブリナらは、ハリウッド映画
"IN GOD HANDS"に、スタントマンとしてではなく、パワーサーファーとして
のキャラクターそのまま出演している。
バジー•カーボックスは、ミラノコレクションやラルフローレンのモデルで
一年分の生活費を稼ぎ、あとはマウイで波を待って暮らしている。
若く健康でたくましいカラダ、美しいワイフ、気持ちのいい暮らし、
タイムリッチ……
それ以上、なにを求めればいいというのだ?
JAWSでの写真や映像が、多少の金銭的受益につながりえる
という側面もある。が、それは理由のごく一部だ。
命がけなので、割にあわない。
かれらは、足りないなにかを埋めるように、
JAWSのジャイアントウェイブに乗る。
まるで巡礼するように、切実に、あそぶ。
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