……………… さわるヒト "HUMANATURE" 1998 ………………

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sawaruhito_-02.jpgfoto by John Drysdale (C) Voller Ernst/ MEGAPRESS
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バーチャルよりも、象がすき。

頭上にミサイル(=_=)
ウーロン茶に青酸…>_<…
電子マネーって現金だっけ?(@_@;)
巧妙につくられた仮想現実は、
現実以上にリアルというから、
これはバーチャルじゃないのか?
朝刊、中吊り、テレビ、
目覚めてから眠るまで、
3000も殺到する広告、
おれが知りたいのは、
あんたの会社の商品情報じゃ
なくて、おれ自身なんだよ。
バーチャルよりも、さわりたい。
象がいい
象がすきだ。
だいいちカタチがユニークだ。
線が、アジア的だ。
美しいというには無理があり、
しかしけっしてぶさいくではなく、
からだがおおきいからといって、
ライオンみたいに高圧的ではなく、
とくに謙虚でもなく、
優しそうだが、
怒りは忘れておらず、
愚鈍ではなく、
ただそこにあって、
神々しい。
そんなやつのそばにいて、
さわっていたい。
バーチャルよりも、さわりたい。
象に乗る。

象に乗るのはそう簡単ではない。
訓練された象に、ハプスン!と号令すると、かれは前足の片膝を上げる(はずだ)。
あなたは膝に足を掛け、耳と腹をつかむや、ソンスン! と叫ぶ、かれはさらに膝をぐいっと上げるから、そのタイミンクで、耳の後ろに飛び乗り、間髪をおかず両膝をかれの耳と首体のあいだにねじ込む(そうしないと、象が首を振るたび落ちそうになる)
上は、タイの象使いの方法。
かれらは、ねじ込んだ足で耳の付け根を蹴ったり、複数の号令を駆使して象を自在に扱う。タイ北部、チェンマイ郊外ランバーンの使役象訓練センターにゆくと、引退した象、これから訓練する仔象、その母象などたくさんいて、象に乗ることができる。
象使いのようにではなく、公園の滑り台くらいの高さの架台から、象の背に固定された椅子状の鞍に座る。象の肩は、大人ふたりがらくに並んで座れる幅がある。
足のうらが、ちょうど象の前足関節と肩胛骨(があるかどうかは知らないが)にあたり、象が歩くたび、太くたくましいメカニズムがうごくのを感じる。
象の皮膚は、写真でみると鎧のようで、サイみたいに剛そうだが、想像よりは柔らかい。柔軟で分厚い生ゴムくらいのかんじ。脂肪は感じられず、その生ゴムのような皮膚の下に直接、骨格のうごきををかんじるのだ。
撮影:ジョン・ドライスデイル
■29年ウガンダ生まれの英国人。広告写真家として
活躍し、受賞多数。掲載写真は、ロンドンのロバート
ブラザーズ・サーカスを取材した70年代初めの作品。



















象に乗る。
訓練センターでのちょい乗りと、丘をめぐる1時間ほどのトレッキングコースがある。
ヒトと同じはやさで、象は歩く。
小川を渡り、日本のそれに似た植生の森を抜ける。
30度近い急斜面もあるが、意外に器用に登る。
林業使役が本業だから当然か。しかし乗っているこちらは背中から落ちそうで、鞍にしがみつかねばならない。
象に乗るのはなかなかの体験である。