……………… とぶヒト "HUMANATURE" 1998 ………………

この一瞬が、一億年。

一瞬でいいから、
このカラダのなかから出てみたい。
一瞬でいいから、
この永遠に続く現在から、
ワープしてみたい。
わたしは(たぶんあなたも)、
しばりつけられている。
その象徴が「重力」だ。
ヒトは、生まれてから死ぬまで、
重力にしばりつけられる。
あそぶ、とは、ブツリ的な意味でも、
ブンガク的な意味でも、重力から
自由になろうとするおこないだ。
とべば、チャンスはある。
とぺば無重力、
いきおいがあれば反重力、
着地して過重力。
重力から自由になるというより、
ただしくは、
重力を操作して、あそぶのだな。
だからヒ卜は、とぶ。











1990年、ドイツ・ダーメ市で開催
されたトランポリンコンテスト
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tobuhito_-02.jpg(C) Voller Ernst/ MEGAPRESS

timespan=1.0+ second

■エアリアル・フリースタイルスキー選手たちは、切り立ったランプから射出された勢いによって、重力から解放される1秒余りのあいだに、ループ、スピン、それら複合技をメイクする。体操の鉄棒競技や、中国雑技団レベルのアクロバットで、折っていない骨はないという選手も多い。



helght=55feet

■ウインドサーフィンのトッププロは「ホノルル空港の天井くらい」は跳ぶ。上空の方が風が強いため、2段ロケットのように上昇することもしばしばで、ウインドサーファーは上空十数mから海面を見下ろし、セイルの風を抜かず、パラシュートのように使って着水する。カラダひとつで墜ち、しかもトランクスだと、着水の衝撃で、肛門から腸内に、多量の海水が入ってしまう。



distance=50m

■落差20mのクリフ(崖)を跳ぶスノーボーターは、着地点に、新雪が載った急斜面を選ぶ。フラットランディングすると、ヒザでアゴを割ってしまう。(モーターバイクの)スーパークロスのジャンプは高く、しかもフラットランディングだが、空中でもバイクに乗り続けることができれば、サスペンションと後輪の駆動力が、結果的に、斜面に着地したようなベクトルをつくりだす。





←1986年、ソビエト連邦。緊急脱出用射出シート操作訓練を受ける空軍兵士