あれ、まだ始めてないの? スタンダップ、いよいよキテますよ。 連載4号は、マウイで、本栖で、 最新 SWEET TOPICS photography= Darrell Wong (Maui) TAKI (Lake Motosu) supervised= Osamu (OSM SPORTS) screenplay= words-by-toko.com |
SWEET TOPICS 01 ダウンウインドは、 追い風とスウェルに乗り続ける "LONG DISTANCE GLIDING" 地球一ぜいたくな散歩 ■この7月、マウイで、Naish Paddle Championships が開催された。マリコベイからカフルイハーバーまでの9.5mile (15.2km) を、貿易風を背に下るパドリングレースである。 Naish冠になったのは昨年からだが、4年前からレイダウンパドル主体で開催されてきた。 スタンダップの参加者が増え、今大会には総計200名近いレーサーが集まった。 伝えたいのは、レースレポートではない。 SUP によるダウンウインド、その気持ちよさ、ことにマウイノースショアで行うそれの、スーパーネイチャースペクタクルな「一生モノ体験」 についてである。 今大会には、日本人スタンダッパーとして初めて、永松良章プロが参加し、ダウンウインドの走法について、Team Naish の Dave Kalama──世界トップのスタンダッパーといっていい──にレクチャーを受けた。 「パドリングするな」 と、Kalama は言うのだった。 |
正確には、追い風の推進力を最大限に利用し、最小限のパドリングでうねりにテイクオフし、できるだけ長くライドし──を繰り返せというのだ。 風とスウェルに乗り続け、いわばプレーニングすることにより、艇速が上がるし、要所でしかパドリングしないので体力も温存される。 うねりを乗り継ぐので場合によってはジグザグに走ることになるが、うねりや風向を無視してプロパー〔ゴールまでの最短直線)で走るよりずっと速い。 参加選手は7歳から70歳近い方まで広汎だが、年配でも速い方はいて、なるほどがつがつパドルせず、肩からチカラが抜けている。 そしてこの走りは、気持ちいいのだ。 だから、レースのない平日でも、ボードを風上までトランポし、ダウンウインドするスタンダッパーが沢山いる。 自転車に乗られる方なら、向かい風のつらさと、追い風の軽快を良くご存知であろう。追い風が強ければ、自転車がまるで原付になったかのように感じられる。 SUP は自転車よりも風の影響が強く、さらにうねりに乗れる。ローカルたちは "GLIDING" と形容するが、プレーニングとサーフィングが10マイル連続するようなものだ。 それもノースショアやハレアカラを望みながら。 ホキーパでは、ウインドサーファーがジャイブするあたりのややアウトをクルージングする。 地球一ぜいたくな散歩といっていい。 |
SWEET TOPICS 02 プラス SUP トリップ、ブレイクの兆し 奥様のおなかも締まっていうことなし ■家族を含む、非ウインドサーファーとのウインドトリップは難しいものである。 「ちょっとやってみっか?」といえるほど気軽なスポーツではないし、お父さんとしてはカーボンカスタムのスラロームマシーンをオンナ子どもに触られたくないこともありえる。 ひとたび吹き上がるや青筋立ててそっちのけ、丘は風冷えするし、男手抜きでテントの設営や BBQ の炭おこし……やっと帰ってきたお父さんひとりがハイで上機嫌。これではヨメはフテ、ガキはグレ、老後はわびしくなりかねない。 そんなお父さんたちの間で、プラスSUPトリップが流行の兆し、嘘じゃない、この夏、本栖や富津でたくさんみましたよ。 SUP は風がなく、凪のときこそ〔一般には〕楽しい。風待ちに絶好である。道具はデカいがシンプルでかんたん。ライジャケがあれば子どもも安全だし、タンデムだってできる。 奥様がたとえ現在特Lサイズだったとしても、インナーマッスルを鍛え理想的なエクササイズでもある SUP で引き締まり、むしろ彼女からトリップに誘われるようになるかも知れない。 |
SWEET TOPICS 03 スタンダップの魅力は "Sociality" 海の上でも友だちがそばにいる ■この連載を始めてから、筆者 (TOKO)は、取材を受けて下さる方に、「SUP の、ユニークで魅力的だと感じるところは?」という質問を重ねている。 シンプルでイージーだが奥が深いとか、エクササイズとして優れているとか、そういう一般論ではなく、その方独自の主観的な評価を。 私自身は、海を自分の行動域にできる自転車みたいな……と感じるのだが。 Michi Schweiger さんは Naish SUPのプロダクトマネージャーで〔詳細は SUPPER PROFILE) その R&D やマーケティングのため、世界各国を回っておられる。 「ソーシャリティではないかな」 と彼はいった。社交性とか、人とのつながり、といった意味だが……? 「ウインドサーフィンはビーチではソーシャリティがあるけれど、アウトに出てプレーニングするとひとりになるよね」 「サーフィンは波待ちしながら友と話せる。けれどうねりが入るとその奪い合いが始まる……」 スタンダップは、スローに、洋上を散歩しながら、友と雑談し、哄笑し、性や老いについての悩みを打ち明けたりすることができる。 なるほどそんなスポーツ、ほかにない。 SWEET TOPICS 04 艇速・機動性20%UP 最新トルクパドルテク ■SUP のパドリングは元来、動き出した大きな板の慣性を保ち、加速させるため、リズミカルに行うもので、がつがつ漕ぐのは勘違い。 ただ、波越え、テイクオフ、危険回避などのため、急加速させるべき状況もあり、このとき使う、ショートピッチかつトルクのあるパドリングをマスターすると、ライディングにメリハリが生まれ、機動性が高まる。 パドリングは、ホウキで後ろに掃くようにではなく、 |
アッパーハンドは前方に押しだし、アンダーハンドは手前に引きこみ、シャフトとパドルでとらえた水塊を圧すように。 ここまでは基本、 このときさらに背筋をも動員して体重をシャフトに掛け、エクストラパワーを与える。 自然上体は前傾し、パドリングストロークに呼応して、お辞儀を繰り返すような動きになる。 しかし練習が充分でないうちは、自分ではパワフルに漕いでいるつもりでも、パワーがボードにしっかりと伝わってはいないもの。 この永松プロのシークエンスでは、両足が揃ってスタンスが狭く(ボードをローリングさせず駆動力のロスが少ない)、パドルを入水させる時点で前屈しているが、これは彼が熟達・強靱だから可能なワザで、最初は踏ん張りが効くようスタンスを前後に、背筋を使うのはパドリング後半からにしたほうがいいだろう。 SWEET TOPICS 05 インレイルも、テイルシンクも 忘れて、スムーズターン ■ボードに立って両腕でブームを操作することになれているウインドサーファーは一般にSUP の上達が早い。だがターンについては戸惑うことが少なくないようだ。 ショートボーダーはインレイルを、ロングボーダーはテイルを沈めてピボット的に、などと勘違いしてしまうのだが、セイルのない SUP は WSF よりずっと艇速が低い。 SUP は、ボード中央付近にスタンスすることで、ストレートなアウトラインとロッカー部分が接水し、推進性と直進安定性を発揮するように、ステップバックするとテイルロッカー部分が接水し、片タックを漕ぐことで、ボードが容易にターンするよう設計されている。 だから、テイルを沈めようと意識すると後ろ加重になりすぎるし、カーヴィングする艇速もないのにインレイルを沈めようなどとすると当然バランスを崩してしまう。「テイルロッカーを接水させる」とだけ、シンプルにイメージしよう。 本連載のマスコット、友莉くんのシークエンス、6月号と較べるとかなり上達している。ターン中、(視線でリードされる)腰が常に進行方向に向いているところがいい。ボードに対し腰が横向きになると沈につながる。 ただ視線はノーズに落とすのではなく、もっと遠くに向けた方がいいけれど。 |