BOARD FISHING NOW ここにそんな魚がおったがかっ!? ボードフィッシャーの釣果に驚き、 その浜で30年40年竿を出している ローカルのお父さん、 わしもその板に乗せてくれっ! ■SUPだけでもハマる。フィッシングだけでもハマる。ふたついっしょにやれば死ぬまでハマる。現に中毒患者が急増中。SUP、ときにWSFを使う "BOARD FISHING"、とにかく釣れる、でかいのが。御前崎のSUPプロ、TOMO村林は、BOARD FISHINGが生まれて初めての釣りだったが、ほどなく60cm級の真鯛や平目を上げ、食いきれず、鮮魚店に売って福沢諭吉に換えたりしている。 BOARD FISHINGの威力に圧倒されているのは、誰より釣り人だ。 ロングビーチで、30年40年竿を出しているローカルのお父さんが、「ここにそんな魚がおったがかっ!」とボードフィッシャーの釣果に驚き、わしもそのSUPに乗せてくれっと懇願するくらいなのである。 釣果が上がる理由はいくつも考えられる。 砂浜や波戸の「陸(オカ)」の釣り人の鉤が届かない場所にいるサカナは警戒感が薄く、釣りやすい。 遊漁船のようにエンジンがついていないので、獲物にストーキング(忍び寄る)しやすい。 SUPのサイズやシステムによって、ポイントをていねいに探りやすい。 大物も来る。 ロングビーチのボードフィッシャーの多くは、得体の知れない大物に、丈夫なPEラインをぶち切られたり、リールからラインを200m引き出されたりしている。ブリなど大型の青物かサメであろう。 佐藤誠司はホームの三浦で、外道だがメーター級のアカエイを掛けている。 多くのボードフィッシャーはハードルアーやジグヘッドとソフトルアーを使うが、大物を掛け、SUP上でバランスをとりつつ駆け引きするなどスポーツとしても新鮮だ。 ボードごと引っ張られることもある。 リールには「ドラッグ」といって、魚に過大な力で引かれると、空回りして、ラインブレイクや竿が伸されたりするのを防ぐ安全装置がついているが、ボードごと引っ張られ、ラインテンションを逃がすことも、BOARD FISHINGならではのダイナミックな安全装置といえる。 ボードが小さい場合、小さくなくても海面がフラットでない場合、魚を掛けたらボードにまたがって取り込む。ことに大物を掛けた場合、立ったまま戦うのは至難。 大型の青物など、取り込み寸前、猛烈な勢いで直下に潜ることがある。トランクスで素足の場合、ラインが絡まり大怪我、下手すりゃ溺死の恐れもある。スリルもある。未知の体験や興奮に事欠かない。 どう、BOARD FISHING、やりたくなんない? |
RUN & GUN STYLE パドル、セイル両対応のフィッシング専用艇に、 魚群探知機搭載。漁師真っ青の攻撃力 ■RUN & GUNとは、クルマなどで移動しながら、複数ポイントを「陸」からテンポ良く攻める釣法で、シーバス(スズキ)狙いなどでよく行われる。シーバス狙いに限らないが、それを海面で行うのがこのスタイルである。 STARBOARDがリリースしたBOARD FISHING専用艇 "Fisherman" によって可能になった、新しいスタイルだ。次ページでも解説するが、このボード、ワイズ94cm、250リットルのボリュームにより、平水ではボードというより、移動可能な「陸」の「足場」といえるほど安定している。 その浮力により、クーラーボックスや魚群探知機、ランディングネット(取り込み用の玉網)、チェア、アンカー等々を搭載できる。 ポイントまでパドルし、必要ならアンカーを降ろして流されるのを防ぎ、かけ上がりのストラクチャーの影、といったピンポイントを精密に攻められる。 「足場」が安定しているのでキャスティングの精度も高まる。 もちろんトローリングもできる。そのためのロッドフォルダーインサートも装備している。ロッドを腰に差す必要はない。 トローリングという「線」の釣りも、RUN & GUN 的な「点」の釣りも、快適に可能。 |
LONGBEACH BASIC 基本はスロー・トローリング ルアーを泳がせ「線」でさぐる ■御前崎ロングビーチローカルの、というか、現在主流のスタイル。 多くのSUP乗りは、複数の板を持てない。波乗りも、クルージングも、BOARD FISHINGも、1枚の板でこなそうとする。となるとボードサイズは10フィート弱。 ポイントまで漕ぎ、そこで停まってルアーを投げるにはボードの浮力がやや足りない。平水ならいいが、ロングビーチのように常時多少のうねりがある海面では安定しない。 (ボードにまたがって釣ることもあるが) ゆえ、ルアーを流し、パドリングしながら魚を誘う、つまりトローリング。 ロッドは尻の上に固定し、ときおり腰を振ってルアーに「ヒラを打たせる」 多くの場合、魚はいきなりルアーをバイトせず、追尾する。腰を振るとルアーがイレギュラーに動き、逃げられると焦った魚がリアクションバイトするのである。 TOMOプロの場合、ルアーを投げもしない。 スピニングリールのベールを開放してルアーを海に落とし、すこしパドリングしてラインを出しベールを返す。 あとはデカいのがいそうな「根」の周辺を、漕ぎ、腰を振り振りトロールするだけである。 (パドリングと腰振りを変に同時にやると腰痛になることがあるそうだ) デカいのが釣れたらどのようにキープするか? かれの場合、タックルベストにカイト用のラインを忍ばせている。それを適当な長さにカットし、魚の口からエラに通し、輪に結ぶ。その輪とリーシュをナスカンで連結。活かしたまま浜上げできる。鮮魚店にも高く売れよう(笑)。 |
BOARD FISHING EQ ウインドでいうオーバー。ライトタックルで、 大物とわたりあうのがむずかしく、おもしろい 佐藤誠司 ■本企画監修者。1964年生まれ、46歳B型。80年代初期よりマウイに渡り、ホキーパアタックを敢行した、日本人ウェイバーのパイオニアのひとり。ビッグウェイバーとして、突っ込みの誠司として名を馳せる。ウインド、サーフィン、SUP、釣り、鮮魚料理、筋金入りのワタメン。現在、三浦海岸に「おもろいショップ」を建設中。乞うご期待 村林ともやす(TOMO) ■プロカイトボーダーとして、KPWTワールドカップ日本人最高位9位入賞、マウイでの世界大会では当時の世界チャンピオンを破るなど海外の大会でも活躍。近年はSUPにも力を入れ、内外大会に積極的に参戦。2010年、7月には、世界でもっとも過酷といわれるパドルレース"Molokai to Oahu"(32マイル=約52キロ)に日本人として初めて参戦。SUPクラス70人中22位と、初参戦としてはまずまずの結果を残す。 |
STARBOARD FISHERMAN 11'2" x 37" ■BOARD FISHINGに特化した専用艇で、パドルの他、ユニバーサルインサートも装備しているのでセイリングも可能。94cmと250Lのボリューム、専用設計のレイルによる安定性のみならず、クーラーなど大荷物も固定するのに便利なラインガイドや、ロッドホルダー(オプション)インサート等も搭載。平水面なら、安定したデッキと言うよりオカの足場。キャスティングや魚の取り込みもやりやすい。キャンプチェアがあればまったり。 Dimensions: Length:11'2" /340.4 cm Width: 37" /94.0 cm Tail Width: 21.8" /55.4 cm Thickness: 4.5" /11.5 cm Volume: 250 L STARBOARD PRO 9'8" x 29" ■この一本で、波乗りも、クルージングも、フィッシングも可能。複数のボードを持てないロングビーチの一般ボードフィッシャーもこのサイズが主流。ロングビーチのように外洋に面し、風が無くてもうねりが消えない海面ではパドリングしながらのトローリング。今回の三浦のように平水面なら、ボードに立ってのキャスティングも可能。 Dimensions: Length: 294 cm Width: 74 cm Tail Width: 18.3" /46.4 cm Stability rating: 5 Thickness: 4.0" /10 cm Volume: 139 L |
SEARCH & KEEP ■BOARD FISHING専用艇ならではの浮力とラインガイドにより、大荷物も固定しやすい。この例では、魚群探知機(中位モデルなら3-4万。乾電池駆動)、飲み物や弁当、獲物をぶちこむクーラーボックス、ランディングネット、アンカーを積載。木製L型は手製の魚探センサーアーム。ポイントに着くとアームを下げてセンサーを海中に。ショックコードで固定しているので、アームの上げ下げも簡単だ。 TOOLS & GOODS ■タックルベスト(浮力体入り)は、BOARD FISHING用の道具をR&D中で、村林プロをスポンサードしているDUO社製。ボガグリップ(取り込み時、魚の歯やルアーのフックで怪我しないよう、魚の口を掴む道具)、プライヤー、ラインカッター、もちろんルアーケース。防水の携帯デジカメ。TOMOプロの場合、獲物を活かしキープするためのカイト用のライン、ナスカンも(詳細は先述)。 ANCHORING ■RUN & GUN STYLEの場合、風や潮に流されながらキャスティングする場合もあるが、アンカーがあればじっくり攻められる。これはありあわせの鉄材とチェーンを溶接した佐藤誠司手製。釣り具量販店でも手頃なアンカーが入手できる。ホームセンターで売っている砂袋(大会などでセイルが飛ばされないよう重しに使うあれ)とシートで自作すれば簡単・超安価で済む。ランチング前にビーチの砂を詰め、上がって捨てれば良し。これでもけっこう流されない。 COSTUME ■水温気温なりのウエットスーツが基本。佐藤誠司兄ィはウエーダーを着用している。ドライで快適だが、素人が真似するのは危険。海に落ちると水が入って泳ぐのが非常に困難。兄ィとて、ボードが浮力のある専用モデルで、凪のコンディションゆえの着用。万一の時ウエーダーを脱ぎやすいよう、上着の上にウエーダーの肩ベルトを重ねている。 |