……………… BLAX SNOWBOARDING BOOTS 記事広告 1995 ……………………

スノーボーディングにおける理想は、
ソールと脳が、ダイレクトに
繋がったような状態だ。


■そのブーツの開発者は、ある夜、夢をみた。……スティープで、ところどころ岩が露出したやばいシュートをクルージングダウンしていた。
なんでこんなにリスキーなスノーボーデインクをやってるのに、こんなに気持ちがいいのだろうと不思議なココロもち、気づくと彼は素足で、足の裏がボードに直接マウントされていて、すべてがフレックスで、すべてがライト……。
夢の中の自分がリアルなのか、目を覚まして
いる自分がリアルなのか、という文学的命題
は措いておくとして、現実はちょっと面倒な
現実的対応を要求するから、彼はそれを現実
化するために、悩んだとさ。

「スノーボードのハードギアのなかで、ブーツがいちばん、量産工業製品として未熟なものなのです」
とチャーリー・メスマーは言う。
だって厳密な意味で、これまで”スノーボード”ブーツは無かったんですよ。
BLAX以前のスノーボードブーツは、アルパイン・スキーブーツか、山スキーブーツのモールドを使っていて、つまり転用、妥協なんです。BLAX は私なりの、世界で初めての"SNOWBOARD"ブーツなのです。

スノーボードブーツは、前後左右、3次元的なフレックスを要求する(分かるね)
とは言え、フレックス、は難しい。
単にフレキシブルなだけであればコシが無く、ボードのエッジをして雪面を「切る」パワーは無い。
ふたたびチャーリー。
「裸足に近いレスポンスを得るためにプ一ツ
丈を短くして──端的に言うとスキーブ一ツ
とテニスシューズの違いだね──さらにオー
バーラップ構造を採用したんだ。
通常のスノーボードブーツは、タンをスネに押し付けることによって密着性を得るよね、でもそれは合理的じやない。
アウターシェルが、二つの手のひらで足を包みこむように“オーバーラップ”すれば、ブーツと足の密着性力が高まる。
BLAXのインナーにはシューレース(靴紐)がついてない、必要ないんだ」
フランク・モーランバルのコメントはもっと単純だ。
「BLAXの利点はブーツのなかで足が動かないことだ」
前号ECSTASYで述べた、ボードのフレックスとトーション・スティフネスの両立と同様、ブーツも、相反するスティフネス(足をしっかりサポートすること)とフレックス(その上で柔軟であること)の両立が必要だ。
BLAXは、オーバーラップによりスティフネスを得、短いブーツ丈とシェルの素材、カットオフなどによりフレックスを得ている。
でも、それで充分、ではない。
レスポンスである。
透視図を見てほしい。BLAXブーツとパインデインクにおいては、足の裏がボードのデッキと極めて近い面上に位置している。
シェルのボトム深くまでインナーがインサートされ、薄く堅いソールを介してパインデインクにロックされることにくり、素足に近い感覚でボードからの情報を得、コントロールできる。
ある種のハードブーツに見られる高いヒールと柔らかいビブラムソールに拠れば、レスポンスが遅れ、曖昧になる。
「高速でエッジトゥエッジを繰り返すスラ−ムにおいては、ボードのソールと脳が直接つながっているような状態が理想だ」
レース中、フランクはBLAXの存在を忘れているのである。