…………… ぼーだーずふぁっしょん 1998 ……………

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「スノボ」でいいじゃないか。
スノーボード、と正しく呼ばなくったっていい。
マーケットがマスになれば、「薄く」なってしようのはしかたがない。
ソウル (え?) やスピリット (ん?) が薄くなるのはしかたが……、
いや、そんなもンは最初から無かった。あったとしても幻想だったのだ。
ダサい格好をしたわしらは、リフトの親父に「ソリ遊びは、子供ンとこ
でやってくれ」とコースを追われた。それが80年代の現実だったのだ。
あのころのわしらは、スノーボードが「スノボ」になることを祈っていた。
「スノボ」でいいじゃないか。
MASSは無自覚で、COREは意或過剰。
どちらも、滑稽なことにかわりはない。
大切なことはひとつ、
進化はいつも、肯定きれたMASSやCOREのなかから生まれること、だ。

バンビーぽく●
(リフトに偶然乗り合わせたオヤジを見て大ショック)
リーマンおとーさん●      
あ、おんなじジャケットですね、
バンビー●ど、どこで買いはりましたん?
リーマン●(照れて) や、うちのやつがね、
バンビー●どこでえ!?
リーマン●(いよいよ照れて) や、ダイクマでね、
バンビー●パ、パチモンでっかっ!?
リーマン●え? パチンコでとったんじやないですよ、ダイクマ
バンビー●すんまへん (と強引にリーマン氏のジャケットの
    ネックタグを裏返し)バッタかぁぁぁぁっ!
リーマン●(驚いて) な、なんですのん?
バンビー●……(打ちひしがれて無言)、
リーマン●……(不気味さと気まずさで無言)。
TOKO付記:
■1989年、日本初のスノーボード専門誌"SNOW STYLE"の創刊に参加し、以降12年ほど、さんざん、専門誌らしい、マニアックな、実験的な記事をつくり楽しんだ。
日本のスノーボードシーンをリードしていたという自負もあって、スポーツがメジャーになるにつれ、一般メディアが「スノボ」と略称し始めたことが、わしらはおもしろくなかった。
この記事で、そんなわしらのせこいプライドを自嘲。
ビジュアルは風俗的なネタ。
高価なブランドのジャケットを手に入れたパンピーぼく(20)が、リフトで隣り合わせたリーマンおとーさん(35)の同じジャケットに驚き、強引にめくってタグを調べ、パチモンではなくバッタモンであることにショックを受ける。

exacta.jpgillust by A2■左もイラストレーター樋口篤郎氏と組んだ風俗系の記事、"スノーボードはるまげどん"(当時オーム真理教が世間を騒がしていた)。
講談社のヤングマガジンEXACTAに連載。

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