……………… マウイじゃ SUPはすでにフェーズ 6 ………………

カフルイ空港近くの大型プロショップ、
Hawaiian Island Windsurfingに
"GET UP, STAND UP" というコピーの、大きなバナーが掲げられていた。
いいね、と店員に声を掛けると、"Yes, Bob Marley" とウインクして、そのフレーズを口ずさんだ。
ウインドサーファーとしては複雑なのだが、ディスプレイされているボード比で見ると、ウインド3、
SUP 7。レンタルボードもウインドに追いついて50:50、HI-TECH も他のショップも同様である。

携帯もネットも、先進的な10%が使い始めた時点で臨界を越え、一気に一般層の80%90%に普及した
という。デジタルとSUP を同列に論ずることはできないが、マウイでは、SUP はフェーズ 6に突入し、
まさにパンデミック前夜という状況であった。
でも、かつてのウインドサーフィンやカイトの「画期的なウォーターポーツ!」的鳴り物入りブームと
いうより、夜しんしんと雪が降り、朝窓を開けると銀世界だった、というような印象。
気づけば定着し、SUP が、ずっと前からそこにあったように感じられるのだ。

ともあれ、マウイが、SUP のEQ、パフォーマンス、風俗の震源地であり
つづけることは間違いない。マウイでは、いま、どうなっているのか?
マウイじゃ SUPはすでに生活習慣?
Michael Schweiger(Naish Product Maneger) に訊く

Q-01
■この1年間、マウイではどれくらいスタンダップパドラーが増え、どのように定着しましたか?
A
●ついこのあいだまで、SUP は、ただの風変わりなスポーツでしかなかったのに、この一年ですごく増えた。モールのパーキングでも、ルーフにSUP を載せたクルマが目立つ。
でも、ブームというよりは、気づくと、ウォーキングやジョギングする人が増えたな、というようなかんじ。
ウォータースポーツというより生活習慣的で、犬と散歩に出るように海に出て、のんびり漕いだり、波に乗ったりしている。
つい最近まで違和感があったと言ったけど、一過性ではなく、SUPはすでに定着して、いまじゃずっと昔からあったように感じる。

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Q-02
■ではこれからの1年で、マウイにおいて、SUP はどのように進化するとお考えですか?
A
●リクリエーショナル・パドラーはもちろんだが、レース志向のパドラーが増えると思う。
SUP はやはり、高速巡航性が重要で、それが気持ちいい要素でもあるから。SUP は確かに増え、皆なの興味を引いているけど、現状ではいまだ、僕ら海に目が向いている層に限られているかも知れないね。
でも、たとえは悪いけど、この1年で、パンデミック(新型インフルエンザの爆発的感染)が起こるかも知れない。近い将来、臨界を越え、ウォータースポーツをやったことがない、海は眺めるだけの一般の人たちをも目覚めさせて。
まさに "GET UP, STAND UP" だね(笑)

Q-03
■ウインドサーフィンもカイトも、黎明期からマウイがメッカとなり、ニュースポーツとして進化してきましたが、前者とSUP にはどのような違いがありますか?
A
●そりゃあSUP は15分で立て、漕げるようになることだよ。ウインドサーフィンで、ジャイブして、波に乗れるようになるのに何年かかる?
SUPなら、ウインドやサーフィンの経験がないビギナーでも、うねりにテイクオフしたり、気づけば乗っちゃっていたり。
いきなり、実際に、波に乗る、という人生でもそうはないトピックを体験できる。そりゃあ夢中になるよ。なのに奥は深くて、ダブルの波でリップすることもできる。
Q-04
■SUP は、マウイのウインドサーファーたちに、どのようにアピールしていますか?
A
●ウインドサーファーはものすごく贅沢で、風力、風向、波高、波質が揃わないと楽しめない。
SUP は、何もなくても、風も波もゼロでもOK、
しかも楽しい。
Jason Polakow、Keith Taboul、 Robby Naish……
風が上がる前、ウインドを終えてのち、SUP で海に出るウインドサーファーがどんどん増えている。
ウインドサーフィンとは違う筋肉を使う、整体的で効果的なクロストレーニングになるというメリットも大きい。



Q-05
■SUP は、マウイのレギュラーサーファーたちに、どのようにアピールしていますか?
A
●正直に言って、ショートボーダーのなかには、SUP を嫌う者が少なくない。彼らは、原則、ひとつの波にひとりしか乗れないので、ブレイクの奥からでも、どこからでもテイクオフできるSUP を敬遠するんだね。
でもそれは、SUP 側がマナーを守ることで解決できる。
ロングボーダーやトーインサーファーはむしろSUP に興味を持っているし、ショートボーダーであっても、複数のウォータースポーツをやっている者は偏見がなく好意的だね。
Q-06
■SUP は、マウイの、ウォータースポーツの経験がない一般層に、どのようにアピールしていますか?
A
●あなたも、ウインドサーフィンで初めてゲティングアウトし、海から陸を眺めたときの感動を覚えているだろう。そういう意味では、海に出たことがない一般層のほうが、SUPによる感激は大きいといえる。それも、家族や友人と一緒に、海の上を散歩するように、どこにでも行けるのだからね。いちど体験すると、
「ねえ、SUP で海に出たことある?」と、伝道者になってしまう。
ウイークエンドのサウスショアは、ランチ持参の、ピクニック的な家族連れパドラーが目立つようになってきた。まさにパンデミック前夜だよ。


Q-07
■近い将来、道具やパフォーマンスに革新があると思いますか?
A
●ウインドサーフィンのように、フットストラップが発明されたとか、セイルにカムがついたとか、そういうドラスティックな変化は、少なくとも近い将来にはないんじゃないかなぁ……。
SUP はジャンプもスポックもできないから、パフォーマンス的にもね。
でも進化は続き、高速巡航性、安定性、波のなかでの回転性という、相反する基礎性能はどんどん上がってゆくだろう。
あと、すでにぽつぽつ見受けられるけれど、周辺ギアがいろいろ開発されるんじゃないかな。
デッキや腕にマウントできる超小型防水デジカメ、携帯や、iPOD やイヤフォン用の防水グッズ、ドリンクチューブつきのツーリングパック……。