……………… Club MED KABIRA Ishigaki-jima, Okinawa 2004 ………………

特別読み切り紀行                
クラブメッド・カビラ(本特集ロケ地)で、
わしも、もとい、わたしも、洗われた。
■わしは、とキャラ的にいつもそういう一人称を使って
いるのだが、今回は大切なクライアントの記事なので、
わし、はやめておこう。
わたしは、フリーのライター・編集者で、雑誌記事や
広告などを作っている。ハイウインドは84年から
だから、すでに20年近く制作に参加していることに
なる。本誌読者の方のなかには頷かれる向きもあろう、
わたしは一口多いタイプで、我がことは棚に上げて
批判的、厭世的でへそ曲がり、とくに人に好かれる
タイプではない。
仕事がら、沖縄や海外のビーチリゾートに行くことが、
一般の人よりは多い。しかし、クラブメッド(地中海
クラブ)には行ったことがなかった。
今回、編集部に、石垣島、クラブメッド・カビラでの
取材を依頼されたとき、実はあまり気乗りがしなかった。
クラブメッドというと、食事時は強制相席システム
(他の宿泊者との親睦をはかるため同じ席に案内される)
をとると聞いていた。
わたしは元来気を遣うことを厭うので、うざいなという
気持ちが先に立った。(相手の方も、わたしみたいな
人間ととくに相席したいとは思わぬだろう)
三食ともビュッフェとか、GO(ジーオー)と呼ばれるサービススタッフが芸をして見せるとか、メッドならではのホスピタリティがあり………「いいよ、放っといてくれたほうが」と、わたしとしては思っていたのである。
そのクラブメッド・カビラから帰って、この記事を書いているわけだが、「なるほど、こういうことね」と、わたしの目は洗われ、認識を新たにしたのだった。
パブリシティ記事だから言うのではない。
(先入観通りだったとしたら、いわゆるパブ記事的な文章を書き飛ばしていたところだ)
いや、なにごとも実体験である。カビラに行かなかったら、先入感が更新されることなく、わたしの人格的瑕疵が、ますます深くなっていたところである。

ビーチリゾートのひとつの典型として、建築の規模を誇るというのがある。高層、中央吹き抜けで、ロビーから空が見えるとか、ビーチをつぶして広いプールをつくっているだとか。それを海でやるのはわたしは違うと思う。東京でやれ。
自然に寄るべき、ということなのだが、竹富島の民宿に泊まって水牛の馬車に乗れということではない。それは極論だ。
カビラは、ロケーション(立地する自然)と施設の親和性のレベルがすごく高かった。設計した建築家がきっと豊かな人なんだろう。敷地の、丘を削ったり、森を伐ったり、ビーチの岩を動かしたりすることを、最小限に抑えている。
建築は3階建て以下で、だから土地の高低に従い、施設が敷地に抱かれるように、ある意味控えめに配されている。チェックインロビーのむこうがプールで、左手のコテージとのあいだに低い灌木帯がある。古来からの霊地だそうで、沖縄の巫女であるユタがお参りするらしい。だから、わたしはその方面はうといのだが、風水的にも、人を安らげる「場」の力があるのかも知れない。
撮影のため、ダイニングの椅子を運んだりしたが、いちいち重いのだ。ムクのしっかりした木を使っているのだろう。建材も、沖縄瓦や土の壁、木の柱、自然石の石積みなど自然素材で落ち着く。プラスティックやアルミも使用されているのだろうが、感じさせない。
カリブ海の南にボネアという小さな島がある。オランダ領で、南米大陸まで80kmしかない。
隆起珊瑚の島で、珊瑚がいちばんありふれていて、安い。だから、道路の舗装も、建築も、すべて珊瑚を捏ねてつくっている。島も、人工物も、すべて生き物の死骸でできている。だからか、すごく安らぐ。それに似ている。
メッドの食事はひとつのショーでもあった

ロベールが言っていた。
「ここの食事はベリーデンジャラスなんだ」
太ってしまうのである。
リラックスして、食事の時間が決まっていることで生活が規則正しく、体調が良くなって、食事が美味しくて、メニューが多いので、つい食べ過ぎて。
わたしはライターとして、ラブ&セックスとグルメ系は専門外としているのでうまく伝える自信がないのだけれど……。
ビュッフェというのは、食った気がしないというのが通り相場なのだが、メッドのそれは、ひとつのショーでもあった。毎回、わくわくするのだ。
なぜって、まず、メニューのバリエーションが半端ではない。野菜料理だけでも10種はあるので、ベジタリアンでも満足できるだろう。
伊仏系の、サラダ、魚介、肉料理のいわば「連載」があって、メキシカンや中華の「特集」メニューがあり、デザート、ビバレッジも10種はくだらない。
連載に毎回変化があり、牛肉のカルパッチョとか牡蠣のマリネとか、これは絶対食しておかねばという出会いがあり、テリーヌとかパイ包みとか、そういうよそいき系だけではなく、八重山ソバとか、タイスキとか、わたしをホッとさせるメニューも抑えてあり、毎食、ごはん、みそ汁、ノリ、納豆を忘れないところも偉い。
オールインクルーシブシステムといって、ツアー料金を支払えば、原則的にそれ以上のお金は必要ない。
ランチとディナーにはワインがついて(とくに赤がいけた)飲み放題だし、舟盛りは別料金、みたいなストレスがないところもいい。
そして、わたし的に危惧していた強制相席システム。
結論からいうと、これも頷けた。
東京のレストランで相席になるのとは意味が違うのだ。窓外は限りなく透明に近いラグーン、これまで述べたもろもろによって、わたしたちは副交感神経優位、リラックスした状態にあり、見知らぬ方とも会話を楽しもう、あるいは会話が無くても互いの機嫌の良さで気まずくない雰囲気がすでに成立している。
ちょうど、ジョン・カビラさんとJ-WAVEのスタッフがロケに来ていて相席になり、かねてより秀島史香さん(同局で活躍中のナビゲーター)のファンだった
わたしは彼女のことをいろいろ聞いたりして、会話が楽しく、わたしはじぶんが社交的な、いい人になったような気がした。いや、多少は本当にいい人になっていたのであろう。
GOたちも私服に着替えて、ゲストと同じテーブルで食事をとる。ゲストの世話をするスタッフだが、同時に友人的存在でもあるというポジションだ。フレンチ、バリニーズ、フィリピーナ、外国人も多く、自らの国籍と喋れる言葉の国旗のバッジを胸につけている。
皆な一応の日本語は喋れる。彼らと、片言の日本語や外国語で話すのも楽しいものである。
ちなみに、ゲストにも外国人が多い。日本人は、一般のビーチリゾートに比べ、かなり洗練されてアッパーなかんじ。わたしをふくめて。
ディナーのあと、高校の講堂くらいのホールで、GOたちのコントやサーカスのショーがある。期待せずに覗いてみたのだが、GOたちはショーについては素人であるにかかわらず、意外に楽しめた。芸のレベルもなかなか高い。美術もシナリオも、自分たちで考えてやるそうだ。昼間の業務以外の時間に練習もせねばならないからそうとう大変だろうが、そういうことが好きなら、舞台に立って喝采を浴びるのだから、そりゃあ楽しいことだろう。これが半端なプロの芸人を雇ってのショーだったとしたら、わたしは楽しめただろうか。
本号のエンゲルでも書いたが、GOたちは好きなことを楽しんでやっている。言葉を換えれば、そうできる人だけに勤まる仕事で、そういう人だけが残っているのだろう。マニュアルなサービスはうんざりさせられるものだが、正味のそれは気持ちが伝わり、居心地良く感じさせられる。
ここでのウインドサーフィンは「一生モノ体験」

■まずはビーチ。これ以上はない美しい白砂。
プライベートビーチではないが、プライベートビーチ的。というのは、背後の自然のまま植生に遮られて、リゾート以外の一切の人工物は目に入らないからだ。
そのビーチを、朝いちでスキー場のピステのような車両で掃く。毎朝まっさらのビーチに迎えられるかんじ。
海、これ以上はない透明な水。アウターリーフで守られ、インサイドラグーンには波やサメは入ってこない。
遠浅で、オンショアだから安全。もちろん真冬でも水温は高く、底は珊瑚と白砂なので海が明るい。
強風が吹くのは冬期、西高東低になると4.0-5.0㎡の風が続き、この時期に合わせ、昨年からロベールテリテオ・ファンボードスクールが開催されるようになった。オールインクルーシブシステムによって、ビックのテクノは無料で使えるのだが、ロベールのスクールは一日あたり2000円かかる。しかしこれは安い。
タブーの3S (108、98、88ℓ)、マッドカウ (74ℓ)
ニールプライドのラフジェットとサーチの4.0-6.4㎡最新ギアのレンタル込みなのである。
(道具は毎年最新モデルに入れ替えられる。取材時は、ちょうど、入れ替えの寸前だった)
今シーズンは11月7日から2月29日の開催。この間、ロベールがずっといるわけではない。彼のチームは独自のインストラクションメソッドを持っていて、世界のメッドを回ってGOたちを教育している。だからロベールがいなくても同水準のインストラクションを受けられるし、いれば最高だ。彼と一緒にセイリングできて、手取り足取り教えてもらえる。
ラグーンは、引き潮のピーク、2時間ほど、浅くなって乗れない時間帯がある。その時間帯があるからこそゴージャス、とも言える。
ウインドサーファーでも、いちにち海にいて、潮の干満という地球の営みを感じることは少ない。
ここは、ビーチの広さが大きく変わったり、ビーチ際の岩礁が見えたり隠れたり、クリアで、超自然的で、海や空気に抱かれているような心持ちになる。
干潮の時間、泳いだのだが、水中で目を開けてもまったく痛くない。ビーチからすぐそばで、アオブダイやキュウセンベラなどが群泳している。
冬の強風でがんがん乗るのもいいが、がんがん乗るばかりがウインドサーフィンではない。
子供や、ウインドをしない彼女と来て、微風で、だからよけいに透明になるラグーンで、テクノに乗せてウインドサーフィンを教えたり、タンデムしたり、そういう楽しみ方をするにも完璧なゲレンデである。


クラブメッドはコミコミ価格

■ツアー料金には往復航空機チケット、石垣空港とメッドの送迎、全食事、ワイン、ほとんどのアクティビティ、ギアレンタル(詳しくは本文参照)料金が含まれます。
■キッズクラブ(託児所)完備で、小さなお子様連れでもウインドサーフィンが楽しめます。

詳細はクラブメッド・バカンスダイアルまで。
☎0088-21-7000(フリーコール)
www.clubmed.co.jp
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TOKO付記:
■一般の記事ではなく、記事広告。取材協力の、いわゆるバーターである。記事広告はありきたりのものが多いが、わしは逆に力が入る。理想は、100%編集記事としてつくり、それが広告として着地することである。(もちろん対象がそれに足るものでないといけない)
成功すると、記事として楽しめ、「正直さ」ゆえに広告としても届きやすい。
媒体への、わしへの、クライアントの評価が上がり、オールハッピーになる。
この記事広告が一例だ、とはいわないが、少なくともその志向で製作している。

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